キアンティと日本アニメ

『キアンティはねぇ』

2007年に三島でイタリアワイン居酒屋を開業した時に、キアンティをお勧めして散々言われたセリフです。


何故そう言われてしまうのか、自分なりに考えてみました。

イタ飯ブーム(1980年代後半~90年代初頭)に、カジュアルなトラットリアでキアンティを飲み、その時の印象のまま、キアンティを敬遠して飲んでいない人が多いのではないか?という結論にいたりました。

その当時の地方で飲めるキアンティは軽く薄い印象のワインばかりでした。

当時は濃くて渋い赤が正義という偏った思考のおじさま達が多かったので、キアンティは嫌われてしまいます。


青山・麻布イタリアンブーム(1990年代初頭~1990後半)になると、日本に入ってくるイタリアワインの質は高まり、情報もたくさん入ってくるようになりました。

ここで都内では、キアンティ・クラシコを始めとするキアンティ全体に対する評価が変わっていった気がします。


2000年代になると、帰国後に都心での開業に拘らず、生まれ故郷に戻って開業するシェフや、食材の豊富な田舎に移るシェフが増えて来ました。

彼ら(知識)が地方に分散してくれたお陰で、様々な州の地葡萄ワインの普及だけでなく、キアンティの誤解も少しずつ解けてきたように感じます。

とは言え、これはイタリア料理、イタリアワインに興味のある方にだけのことで、殆どの方はイタ飯ブームの頃のキアンティの印象のままなのが地方の現状です。


イタリアンブームの頃に、西麻布で修行していたお店のお客様達は、イタリア語の分厚いワインの本を読まれたりするマニア的な人や、営業終了後にやってくる他店のシェフやソムリエが多かったので、キアンティの味わいの違いを説明するのに、キアンティの話しをすれば良かったのですが、こちらでは時代のニーズに合わせた数度の法改正や、クラシコやサブゾーンを知っている方はいませんので、使う葡萄の違いや土壌の違いから来る味わいの特徴、キアンティの多様性を伝えるのにとても苦労します。

更に、世界的人気ワイン産地ですから、キアンティ・クラシコ地区だけでも600以上の生産者がいます。造り方による違いもあるんです。

この様に、キアンティと言っても様々なキアンティがあります。

※ここまで(前置き)をうまく纏められず、かなり長くなってしまったので、詳しく知りたい方は下記を検索してください。

①1840年代 リカーゾリ

②1966年 法改正

③1984年 法改正

④1996年 法改正

キアンティが、その時代のニーズに合わせる努力を続けてきたことが分かります。

軽くて薄いと嫌われてしまう原因となった白葡萄を混ぜることも、始めた当初はニーズに合わせて[改良]したことだったんです。


前置きが長くなりましたが、日本において1番に種類の多いワインであるキアンティの味の違いを、お客様の好みにあわせて、より正確に伝える方法はないだろうか?

2度のイタリア料理ブームを知らない若い世代の人たちにも、分かりやすく違いを説明できる方法はないだろうか?


まだまだ研究中で実戦に移していませんが、日本アニメをキアンティ(他のイタリアワインも)の説明に使いたいと僕は思っています。

そう言うとバカにされたり、何言ってるのコイツ?って顔でみられますが(笑)

多様性のあるイタリアワインの説明に日本アニメを使おうと決めたのには僕なりの理由があります。

①同じように多様性がある

②若い世代との共通認識が持てる

③海外の方との共通認識が持てる


4時間の通勤時間を利用して日本アニメを見ています。

1クールで40作品前後を、僕の好き嫌いに関係なく、ただただ見続けています。

つまらないなぁと思ってもとにかく見続ける。

頭で理解するのではなく、咄嗟に例えられるよう身体に染み込ませるように、よりたくさんの作品を見続けます。


やり初めて2年、先日、常連のお客様に試してみました。

国際品種も使ったキアンティ・クラシコとサンジョベーゼ100%のキアンティ・クラシコを並べ、「この2本、同じ異世界ものだとしたら、こちらは[転スラ]でこちらは[無職転生]です。」と実際にやってみました。

(例です、実際は別のワインと別の作品でした)


結果としてはまだまだでしたが

手応えはかなり感じました。


地方でイタリアワインに詳しい人、興味を持っている人は多くありません。

その数少ない、分かってくれるお客様を取り合っても仕方ありません。


詳しい人を増やしていくという方法は、日本ソムリエ協会さん、ワイン会を開催される酒屋さんやイタリアレストランのソムリエさんにお任せして[ワインは飲むけれど、あまり興味はない]という人達に伝える努力を僕は続けていきたい。


これからワインを飲み始める若い世代を、イタリアワイン沼に沈め…イタリアワイン好きにするのが僕の仕事だと思っています。

地方でもイタリアワインは売れる!と胸を張って言えるようになるまで頑張ります。


#キアンティ

#イタリアワイン

#日本アニメ

#多様性